助産師になるために知っておくべきことや、現役助産師のインタビューから、経験者だから分かるメリットやデメリットを紹介します。
目次
必要資格・条件
助産師になるには、最低限の必要な資格や条件があります。
- 女性
- 看護師免許
- 助産師免許
上記の条件を満たしていないと、助産師として働くことはできません。
男性看護師は無理!
男女平等の意識が高くなった現代では、数少ない「男性ができない」職業です。
助産師になる方法(進学先別の経路)
助産師になるには、下の図のいずれかの学校で学習し、看護師資格と助産師資格を取得します。
助産師は中学校卒業後6年が最短
最短で助産師になるには『5年一貫看護師養成課程校』と『1年の学習(助産師養成所など)』です。
中学校卒業後、6年間で助産師になる最短コースになります。
高校卒業後は大学4年が最短
高校生から助産師を目指す最短ルートは、看護師・助産師課程を持つ4年生の大学が最短コース
大学入学後、学校内で助産師選抜クラスに合格し、卒業できたら助産師の国家試験を受験することができます。
助産師選抜クラスの定員は決まっている
選抜クラスは大学から助産師になるための最短コースですが、定員が決まっています。
大学入学後に行われる選抜クラスの選考に合格し、定員の中に入らなければ
授業を受ける資格が得られません。
- 看護師の勉強をしてから、選考を受ける
- 選抜クラスには定員がある
最短で助産師になるため大学に進学したが以下の理由から、あきらめる人もいます。
- 学力の不足を感じる
- 選抜試験に合格できない
- 助産師のイメージが違った
『看護師』『助産師』『保健師』すべてで、カリキュラムが増加しています。
以前は3つの国家資格を4年間で同時に取得することもできましたが、現在では2つが最大です。
カリキュラムの増加で4年間のうちに、すべてを履修できないからです。
2022年からもカリキュラムは増加しており、今後も増加傾向にあると言えます。
看護師と助産師のダブル取得を最短で目指すのが、より難しくなりました。
日本看護協会でも「各課程の単位数が引き上げられたため、4年間で複数の専門職に関する内容を教授することは極めて困難」と言われている
引用:日本看護協会News Release
- カリキュラムが増えている傾向
- ダブル受験はハード
- 助産師2年教育の学校が増え、1年教育よりも2年教育が主流になりつつある
- ダブル受験は困難なため、大学に専攻科(1年)を設置している学校もある
助産師国家資格の受験に回数制限はある?
『助産師の国家試験』『看護師の国家試験』に回数制限はありません。
国家試験は1年に1度だけですが、何度でも受験できます。
もし国家試験に失敗しても、翌年にダブル受験や助産師国家試験の受験資格があります。
看護師から助産師になりたい
すでに看護師資格を持っている方では、下記の学校に進学し、1~2年の教育を受け、助産師国家資格の受験資格を取得します。
- 看護系大学院:2年
- 看護大学専攻科・別科:1年
- 看護短期大学専攻科:1年
- 助産師養成所:1年
看護師になるには、中学校・高等学校・短大・専門学校・大学など様々な経路があります。
まず、看護師を目指したい方は、コチラを参考にしてください。
≫看護師になるには?国家資格取得・仕事・平均年収・スキルアップの紹介
助産師の年齢制限
助産師に年齢制限はありません。
- 女性
- 看護師免許
- 助産師免許
これらの条件や資格を持っていたら、助産師になることができます。
年齢制限はないため、20代・30代・40代・50代でも、「助産師になりたい」と
熱意と体力と経済状況の条件をクリアできていたら、年齢は問われません。
助産師になるためにかかる費用
助産師になるためには、資格取得までに様々な費用がかかります。
- 助産師予備校受講料
- 助産師学校受験料
- 入学金
- 授業料
- 施設維持費
- 実習費
- 実習中のユニフォーム代(実習着)
- 教科書代…など
上記の他に、生活費や交通費などが必要になるケースもあるため、
奨学金の有無や、自分の経済状況から進路を決定しましょう。
学校別の学費(授業料)
「通う学校の種類」「方法・経路」によっても、費用は大きく変わりますが、
以下は初年度に必要となる入学金・授業料(学費)の目安です。
公立大学 | 66万~117万円 |
国立大学 | 82万~93万円 |
私立学校 | 115万~240万円 |
専門学校 | 25万~156万円 |
短期大学 | 120万~165万円 |
助産師養成所 など | 35万~300万円 |
私立学校は高く、国公立が比較的 安い傾向があります。
助産師学校で勉強すること
助産師になるためには、以下のような学習が必要になります。
- 基礎助産師学
- 助産診断・技術学
- 地域母子保健
- 助産管理
- 研究
- ハイリスク妊娠
- 乳幼児
- 臨地実習
『助産診断・技術学』や『臨地実習』では近年カリキュラムが追加されています。
- ハイリスクの助産診断・技術学
- 乳幼児の成長発達と病態
旧カリキュラムは28単位でしたが、2022年4月からは3単位増加し、
新カリキュラムは31単位となっています。
助産師に求められることが増加
助産師のカリキュラムが増えました。
これは助産師に求められるニーズが変化、または増加したことを意味します。
- 晩婚晩産化
- 高齢妊婦の増加
- 不妊治療の増加
- 核家族化
- 子育ての孤立化・少子化
- 産後自殺が産後の出血より死因が高い(周産期メンタルヘルスの課題)
- 産後の継続支援の継続
社会ニーズに合わせて、柔軟に対応できる助産師が求められています。
助産師国家資格の難易度(合格率)
助産師になるには、国家資格を取得する必要があります。
これから受験を目指す方にとっては「難しいの?」と難易度や合格率が気になるところです。
2022年、第105回助産師国家試験は、2月10日に行われ、出願者数2,103人、受験者数2,089人、合格者数2,077人で、合格率は99.4%。
このうち、新卒者の合格者数は2,071人で、合格率は99.7%
これまでの助産師国家試験の合格率は
低くても90%台、99%を超える年も多く、高い合格率で推移
高確率で合格しています。
しかし、試験の難易度が低いわけでありません。
受験までの難易度が高く、国家試験にたどり着ける人材が優秀なため、合格率が高く維持されています。
助産師になるのは難しい
- 学校数が少ない
- 2つの国家資格を短期間で取得
- 卒業までに中退・留年
第1関門 入学・進学
助産師になるための第1の関門は『入学』です。
2018年文部科学省調べで、看護師の学校数は1,064校
助産師学校・養成所の数は、全国に208校だけです。
- 大学院:39校
- 大学専攻科・別科:39校
- 大学:83校
- 短期大学専攻科:4校
- 養成所・専門学校:43校
参考資料:助産師学校・養成所数の推移
◎自分が住んでいる地域にある学校や、入学したい学校の倍率を調べる。
第2関門 学習期間
助産師になるための、第2の関門は『学習期間』
看護師の国家資格を取得するだけでも、学習・実習などで大変ですが、
助産師を目指す場合、4年ほどで、もう1つ国家資格を受験することになります。
期間が短くハード。 難易度が高いです。
第3関門 中退・留年
助産師になるための、第3の関門は『中退・留年』
すべての入学者が進級や卒業ができる訳ではありません。
- 学習についていけない
- テストや実習で合格点がとれない
- 想像していた働き方と違った
- 経済的に在籍が困難になる
これらの問題で進級や卒業が困難になるケースがあります。
熱意を持ち続け、努力を積み重ねた人だけが、助産師国家試験を受験することを考えると
助産師国家試験の合格率が、毎年100%近いことも納得できます。
通信講座で助産師になれる?
通信講座では助産師になることができません。
一部の助産師学校で、通信講座・通信課程がカリキュラムに組み込まれていますが、
実習も必要になるため、助産師になるための全ての学習を、通信講座で行うことはできません。
海外で助産師になる
これまでは日本国内で「助産師になるためには?」を紹介しましたが、海外の場合を紹介します。
日本国内で助産師になるためには以下の条件があります。
- 女性
- 看護師免許
- 助産師免許
国内では女性限定の職業です。
男性看護師は助産師として働くことはできません。
しかし、海外では男性でも助産師の資格を取得し、働くことは可能です。
アメリカ、イギリス、ヨーロッパ、オーストラリアなどでは
男性であっても助産師になることが可能です。
男性看護師ができる助産師に近い働き方
男性は海外で助産師になることはできますが、
国内では法的に認められていません。
男性看護師が『日本国内で』助産師に近い働き方をしたい場合
以下の職業が候補に上がります。
- 小児科病棟・外来・クリニック
- 手術室看護師(帝王切開の担当)
- 保育園看護師
- 重症心身障がい施設
- ベビーシッター
赤ちゃんを直接取り上げることはできませんが、上記の職業であれば
『赤ちゃんや子供』と関わる仕事や『お産』に関わる働き方が可能になります。
「絶対にお産に立ち会いたい」という方であれば、産婦人科医を目指し、医師資格を取得してください。